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世界と世界の狭間。
世界として認識されない空間で、管理者たるその女性は、無限の世界を見守る。

彼女に与えられたものは、永遠ともいえる命と、何もない空間。
そして、どこにも繋がっていないキーボード。
ただそれだけ。

ある世界の人間が見れば、これでは何もできないと嘆くだろう。
あるいは、それが何かすらわからず途方に暮れるか。

だが。
これこそが彼女を、唯一絶対の存在とさせる道具なのだ。

どんな原理なのかは知らない。
けれど彼女がそこに命令を打ち込めば、それはすべて実行される。
モニターを必要とするなら、何もない空間にモニターが『発生』する。
机や椅子、ベッド等、必要なすべてはそれで揃う。
本来彼女には必要としない飲食も、娯楽として求めることもできる。
生活することに何の不便もない。
欲しいモノはすべて、命令を打ち込むことで『発生』させることができる。

とはいえ、これの真の価値はそれではない。
これの、本当の使い道は―――

カタカタとキーを叩く音に、短い溜息が混じる。
空中に浮遊するいくつかのモニターのひとつには、銀髪紅瞳の少女。
別のモニターには、少女と同じ色彩を持つ二人の青年。
それぞれ、別の世界の映像である。

そう、本当の使い道はこれだ。

どの世界であろうと、どんな場所であろうと関係なく。
人や物、あるいは現象であろうとも、この世に存在するすべての情報を得ることができる。
隔離された、どこにも属さないこの空間で。

タン、とひときわ強くキーが鳴り、モニターは消えた。

「まいったな……あの情報は本当だったらしい」

そう遠くない未来。
モニターに映されていた少女は、外部から干渉を受ける。
二人の青年が……少女と種を同じくする彼らが、行動を起こしてしまうから。

「私が直接手を出すわけにはいかないってのに……透も嫌な情報を回してくるもんだね」

自分の存在を知る、数少ない友人の名を口に出し、眉をひそめる。
知らずにいればまだ楽だったと思う。
だが、一度知ってしまえば、気にせずにいられるわけもない。
狙われる対象が、あの少女なのだから。

(ロスト……壊れるなよ)

心の中だけで呟く。
透とはまた別の友の、これから抱え込むだろう苦悩に心を痛めながら。
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このブログは、英雄クロニクルで遊ぶレイの創作日記です。
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