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深夜、眠れずに外へ出た。


―――想いに形があるなら

そうしたら、人はもっと解りやすかったろう。
目に見えて、触れられるものであるならば。

―――形としておけるなら

そうしたら、きっと世界中の苦労のいくらかは解消していただろう。
すでに形成された『形』であれば、外部干渉を受けない限りはそのまま存在する。
けれど……現実はそうではなくて。
感情とか思い出とか。
それは本当になんて曖昧なものなのだろう。
今感じているこの思いすら、すぐに思い出となり、あやふやになる。

そういえば誰かが言っていた。
思い出は感情に影響され、美化されるものなのだと。
体験した事象そのままに覚えておくことはできないのだと。

それならば今の私はなんなのか。

私が私として生まれてくる以前の記憶は、『私』が体験したものではない。
私ではない私が体験し、残した記憶。
今生きている私は、過去に死んだその人の記憶を、情報として受け継いだ。
だから……そこに、『私』の『感情』はない。

この感覚をどう言い表せばいいのかわからない。

たとえば娘たちやロスト。あるいは今も変わらず傍にいてくれる知人たち。
最初は戸惑ったけど、好きだった記憶も手伝って、直接関わっているうちにすぐに仲良くなれた。
今では『私』自身もみんなを好きだと言いきれる。

でも、他は違う。
私が生まれてから、会えてない人たちは違うのだ。

自分自身が直接関わった経験を得れず、過去の感情は沙の向こうに置き去りにされている。
それはもう、思い出とすら呼べない。
経験を伴わない記憶は新しい感情を発生し得ず、ただの情報という枠を超えられない。

そう思う自分が嫌だった。
自分の在りようが、ひどく不自然なものだと痛感する。
常に心の一部が乾いているようなものだ。

過去の渇きは過去の水でしか潤せなくて。
私ひとりじゃ、どれだけ歩いてもその水へ辿り着けなくて。

……もう、歩き疲れてしまった。

懐かしい場所から動かず、新しい水に手を伸ばす。
その水が過去には届かないと知りながら、せめて今の渇きを癒すためにと。
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このブログは、英雄クロニクルで遊ぶレイの創作日記です。
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