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15期中盤戦時のお話を、璃磨の思い出とともに璃磨視点でSSにさせていただきました。
そのため、皆様の見る英雄戦とは違っているかもしれませんのでご了承ください。
そのため、皆様の見る英雄戦とは違っているかもしれませんのでご了承ください。
風が吹いた。
高く結んだ波打つ髪は、風を捉えて大きく揺れる。
この日をずっと待っていた。
英雄として立つ風太の傍に控え、彼の力となれる日を。
この日が必ず来ると信じていたから。
最初に彼を知ったのはいつだっただろうか。
それはもう覚えていない。
同じ英雄戦のメンバーとなった時も、何度か目にしたことがある相手、というだけの認識だった。
同じ陣営で、共に戦う仲間。
そう、他にも沢山いる中の一人でなかった…と思う。
あのころは、まだ。
けれどイズレーンで過ごすうちに、彼を目にする機会は増えていく。
彼はとても明るく、なおかつ活動的だった。
破天荒なのに面白くて……気付いた時にはもう、私の目は彼を追っていた。
彼が私を傭兵として雇ってくれた時は嬉しくて。
本当に、本当に嬉しくて。
そんな自分自身に戸惑いながらも、彼から目を離せないままの日々を過ごした。
彼と共に過ごすようになってから、様々なことが意味を変えたと思う。
単調だった世界に鮮やかな緑が加わって、目が覚めるような眩しさを知った。
優しく穏やかな夜が終わり、忙しく賑やかな朝が訪れるがごとき明確な光。
ときに翻弄され、眩暈がするほどの輝きから、目を離せないでいる。
『家族を守る』
それまでの私にはそれがすべてだったのに……
彼にとって不可欠な存在になりたい。
それは、私の中に初めて芽生えた……欲望。
深呼吸をひとつ。
ああ……どれだけ、この時を待っていたか。
今回は、いつもの遠征とは違う。
ただ我武者羅に動けばいいというものではない。
他の9人の仲間たちと協力し合い、マッカへと攻め込む英雄を全力で支えるのだ。
そのために、イズレーンの中から選ばれた。
そして……選ばれた我々を導くのは……
「行きましょう風太さん。
貴方がいれば、私は何も怖くない――」
自分を奮い立たせるための言葉は、気まぐれな風に流される。
誰の耳にも届かなかったかもしれない。
だとしても別に構いはしない。
ただ、口にせずにはいられなかった。それだけなのだ。
マッカの人たちに何か恨みがあるわけではない。
むしろ自然とともに生きる彼らはイズレーンの民に近く、そういう面だけ見れば好ましくさえ思える。
けれど。
信じるものが違うから。
大切なものが違うから。
望んだ結果が違うから。
手を、取り合うことはできない。
このままならば、たぶん未来においても変われない。
それは悲劇と言えるだろう。
けれど目を背けはしない。
なぜなら今、私は望んでここに立っているのだから。
自分の意志で、求めて……努力して掴み取った場所。
たとえこの手が紡ぐ力が、他者の痛みや苦しみを生んでも。
それがわかっていても、ただ、全力を尽くす。
譲れないものがここにあるから。
愛する人、大切な家族、心許せる友人たち。
そしてたった一人、この心を捧げたただ一人の英雄。
イズレーンを守ることが、彼らを守ることに繋がるから。
「私の力は、我が英雄と、イズレーンの為に」
小さく、けれど先ほどよりは確実に、その言葉を呟いて。
決意を込めて前を向く。
近くで銀の色彩が揺れたかと思えば、次の瞬間、その色は敵地にあった。
赤き国での戦いが―――始まった。
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子供:璃磨、小鴉、小鳩、利奈
幻獣:真白、ロスト、リューク
このブログは、英雄クロニクルで遊ぶレイの創作日記です。
キャラとしての言動に理解のある方のみ、ご利用ください。
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